カテゴリー: 音楽ウンチク

プレイリスト 2005・7月
イーノからのレッスン

cave1

ブライアン・イーノ
「アナザー・デイ・オン・アース」
Opal/Beat Records, 2005 (BRC-128)

「アナザー・デイ・オン・アース」は大きなイベントだ。ブライアン・イーノ名の元に出た1977年以来初めての「歌もの」のレコードだからだ。イーノの「ヒア・カム・ザ・ウォーム・ジェッツ」のプレイリストで書いた様に、私はとてもイーノのヴォーカルが好きなのだが、彼はやれる事はもう何も無いと思いポップソングを止めてしまった。20数年他人の曲のプロデュースとアレンジをし、そしてもちろん時々バッキングとゲストヴォーカルをしたが、イーノのスタジオにポップソングが帰って来た様だ。

最初に聴いて、彼が歌に戻るのが良い考えだとは納得出来なかった。「アナザー・デイ・オン・アース」と昔のイーノのヴォーカルの間のコントラストには最初びっくりさせられた。この新しいレコードはもっともっとポップだからだ。イーノは特にそのヴォーカルが時々OMDの様だ。しかし同時にその曲の構造は以前の良い頃のOMDを思い出させる。ブライアン・イーノとアンディ・マックラスキーの比較はお世辞に聞こえないと思うが、これは批評ではない。「アナザー・デイ・オン・アース」は主題を良く投げかける静かな貫禄が有る。もしそれがポップだとしても、イーノポップはポップソングが通常有る様に決して程々ではない。レコード全体何だか知っている気がするが最後にはハッキリとどんな音楽だと限定する事など出来ない。これはイーノが時間と共に、けれども強い各個としたキャラクターと共にポップアルバムを作りあげてきたのを見せてくれる。

「ディス」−最初の曲は(多かれ少なかれ)3分ポップソングだ。シンプルなメロディと詩の繰り返しで数回聴くととても気持ちよくなる。また、音楽が終わった後、頭にこびりついても楽しいチューンだ。それは夏の戸外の蝉と建築音と絶妙に調和する。窓の向こう側のエブリディワールドとの関係、それがこのレコードの鍵である。私のイーノの印象は、経験より雰囲気の仕事で、彼の曲とアンビエント物は実生活を描くよりムードと分析に基づいてきたという事だ。しかしたぶんそれは間違いかもしれない。たぶんイーノはハードな知性の接近を越えて成長しているのだ。柔らかい賛美歌っぽい「ディス」から「ハウ・メニー・ワールズ」と「ジャスト・アナザー・デイ」のきめ細やかな観察へ、この新しいアルバムはエブリディライフの動向により関係があるのだ。

ヴォーカル処理がこのレコードのメインアトラクションである。イーノがどう歌うかだけでなく、彼が音楽のヴォーカルとインストゥルメント部分とをどう選ぶかだ。「アンド・ゼン・ソー・クリアー」はカウントテナーの様なマシーン増幅ファルセットだし、「パッシング・オーバー」はクラフトワークのロボットみたいな処理による重厚なコーラスが続く。しかし、クラフトワークでも、処理の裏に声を作る事が出来る。イーノのマジックは上手く処理した声へさえも人の暖かみと存在を持ってこれる事だ。「ボトムライナーズ」の声はこれの良い例だろう。ヴォーカルは通常機械を通した処理をされるが、イーノはハッキリと機械とハーモニーを出している。

さて、今日は「イーノからのレッスン」をした。なぜなら、彼のレコードを何度も何度も聴いているといつも私達に何かを教えてくれるのだ。私は「アナザー・デイ・オン・アース」から3つのメインポイントを得た。正しい事を気にかける様にし、他人を不必要な物で気をそらせない様注意し、以前やった事で落ち着かない様にする。しかし、もっと重要なのは、効果的だと見つけた物を捨てないでいつもやる事に人間性を持つ事だ。

-CR, 2005年7月26日

2005年7月26日

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