カテゴリー: 日本の探偵小説

「探偵小説四十年」その一

と、言っても私自身の話ではない。最近購入した光文社文庫江戸川乱歩全集第28巻と29巻の乱歩による随筆の事だ。最初図書館から借りてきていたのだが、自分でも欲しくなって買ったのだ。この図書館で借りた講談社の昭和54年版全25巻は本そのものがカッコイイ、それも全巻トータルでなおカッコよくなるデザインなのでそのうち欲しいのだが、ン万円するので現在の私達には手が出ない。それで、今年2月に30巻完結したばっかりの光文社刊の随筆24〜30巻を買った次第だ。(出版社はバラバラではあるが、小説は少年探偵団モノ以外は殆ど所持している...と思う。)

私が乱歩を乱歩として意識して読み始めたのはそんなに昔ではない。テレビの明智小五郎シリーズがメインで、後は有名どころの短篇を読んでいた程度だった。小さい頃に少年探偵団に親しんだ覚えもない。「ぼっぼっ僕らは少年探偵団♪」って節は知っていたけれど...。考えてみたら、外国に住んでいた頃肉親が本を数冊送ってくれて、その中に入っていた1冊が以前読んだ事があった短篇小説集だったのだ。たぶん、それからだろう。日本のミステリーとして乱歩作品を意識しだしたのは。本を揃え始めたのは日本へ帰ってきてからなので、ここ5〜6年位のものだろう。まだビギナーなのだ。

元々随筆を読むのは好きな私であるが、これは乱歩を通した初期日本ミステリー史を知ると同時に乱歩の性格を(表面的であろうとも)知る点でとても面白い本だった。戦後に比べると戦前戦中の方が乱歩の個人的な事や何を考えていたのかが詳しく書かれているので特に興味深い。

日本のミステリーは翻訳とか翻案とかから始まった。乱歩が日本製オリジナル探偵小説「二銭銅貨」でデビューする「新青年」という雑誌があった。大正九年創刊で元々お洒落な青年雑誌だった様だが最初の編集長森下雨村が探偵小説愛好家だったのがきっかけで外国の探偵小説を紹介すると同時にオリジナルを募集し始めたのだ。大正末期、日本各地に探偵小説を愛する青年達がいた。乱歩もそのひとりであり、横溝正史もしかりである。(余談だが、作家としては横溝正史の方が早くから書き始めているのである。「新青年」の編集長をしていた事もあり、遅咲きになったのかもしれない。)

乱歩は日記をつけない代わりに、自分に関するもの全てスクラップ「貼雑帳(はりまぜちょう)」を残した。それを元にして以下の回顧録を書いたという。

「探偵小説十年」(平凡社版全集第十三巻、昭和7年。最新の光文社刊では第24巻「悪人志願」に収録。)
「探偵小説十五年」(新潮社版選集の各巻末、昭和13〜14年。光文社刊では第25巻「鬼の言葉」に収録。)
「探偵小説四十年」(昭和24年から「新青年」に「探偵小説三十年」を連載。途中から「宝石」誌に「探偵小説三十五年」と改題され昭和35年まであしかけ12年間執筆されたものがオリジナル。)

彼自身の探偵小説への目覚めと作家生活の始まり。同時代の他の探偵作家との交友。(同人活動が好きだし皆で一緒にラジオや舞台にも出演しているのだ!メリーゴーラウンドにだって乗っているのだ!)シャイさとビジネス好きの二面性を持つ性格。そしてその性格による羞恥や自己嫌悪。自己批判。人間嫌悪。(そこまで思わなくても...と思う位である。基本的に真面目で謙虚な人だったようだ。しかしながら案外褒められ好きでもあったのが、こういっては失礼かもしれないが可愛らしい。)結構語り口調でダイレクトに自分の気持ちを書いている気がして、読者サイドとしては嬉しい。

以前、乱歩の英語翻訳本「黒蜥蜴&陰獣」を紹介した事でもあるし、「探偵小説四十年」についても書いてみたいと思ったのだ。 けれども私の学生時代の読書感想文って、酷かったなあ〜。あらすじが主だったもん。思考が浅いというか、文章力が無いから上手く表現出来ないというか..。 まっ、その程度だけれど、お許しを!

-YS, 2006年3月16日

2006年3月16日

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